
■5冠馬が1時間43分遅れのフライトで世界雄飛だ。凱旋門賞(10月1日、仏ロンシャン競馬場芝2400メートル)に参戦するディープインパクト(牡4=池江郎)が9日午前、JAL6461便(エールフランスと共同運送)で成田空港から渡仏した。運搬手続きはすべてVIP待遇、台風7号接近による大雨も思わぬ形で味方するなど、強運の最強馬ならではの渡航となった。
午前4時50分、まだ夜が明けきらない美浦トレセンの輸出検疫厩舎を、ディープインパクトを乗せた馬運車が静かに出発した。「行ってきます。頑張ってきます」。助手席側の窓から池江助手が力強く手を振った。午前6時前には成田空港に到着したが、台風7号の影響で大粒の雨が叩きつける悪天候。使用機材の到着が遅延し、機内への積み込み作業にも遅れが生じた。馬運車からホースストールと呼ばれる競走馬輸送専用コンテナに移し替えられたインパクト。積み込みまでの約2時間、コンテナ内で待ちぼうけを食ったが、全く動じる様子はない。作業を見守った池江郎師も「いつもと同じ雰囲気。リラックスしていた。心配ない」と安どの表情を見せた。午前10時13分、定刻より1時間43分遅れて、決戦の地フランスへ向かった。
航空機の定時運行に支障をきたすほどの大雨。だが、インパクトにとっては恵みの雨にもなった。
貨物機のコンテナはジュラルミン製。夏場は気温の上昇により庫内に熱がこもりやすい。輸送を担当したJALカーゴ側も、庫内温度の管理に苦慮していたが、ここ2日の雨天で気温が下がったことが幸い。自然と適温に保たれた庫内にインパクトは難なく移ることができた。 機内への積み込み作業にも細心の注意が払われた。コンテナの向きを変えるターンテーブルは衝撃を考慮し、モーター駆動から係員による“手押し”に切り替え。搬入機器が作動するたびに鳴り響くサイレンもインパクトが驚かないようにオフにされた。機内の空調を良くするため、他のコンテナとは離れた位置に固定するなど、まさに何から何までVIP待遇。JALカーゴの伊藤俊治マネジャーは「これだけ注目を集めている日本一の馬。最善を尽くしました」と胸を張った。
インパクトを乗せたJAL6461便は9日午後9時56分(日本時間)にパリ・シャルル・ド・ゴール空港に到着。史上2頭目の無敗3冠馬が、歴史的快挙に向けて大きな一歩を踏み出した。(スポニチ)
※内弁慶でないことを祈る。