
■沖電気工業と沖データ、沖デジタルイメージングの3社は共同で、LEDの発光層を化合物半導体基板からはがして、LEDドライバICチップ上に貼り付ける技術を開発した。すでにこの技術を使って作成するプリンタ向けLEDヘッドの量産を始めている。沖電気工業で常務取締役と技術戦略担当執行役員を兼務する杉本晴重氏は、「これまで半導体素子の転写技術は、さまざまな半導体メーカーが盛んに開発を進めていたが実用化には至っていなかった。今回、世界で初めて量産化に成功した。今後の半導体製造プロセスの流れを大きく変える可能性を秘めた技術だ」と胸を張る。同社らはこの技術を「エピフィルムボンディング技術」と呼ぶ。
開発した転写技術を説明しよう。採用するLEDは
AlGaAs(アルミニウム・ガリウムひ素)を発光層の材料に使う赤色発光素子だ。GaAs基板に犠牲層である
AlAs(アルミニウムひ素)層をエピタキシャル成長させた後に、AlGaAsのn層、活性層、p層を順番に積む。次いでこの上に接着フィルムを貼り付ける。この状態で、犠牲層をエッチングするとGaAs基板から発光層がはがれ、発光層のみが接着フィルムに残る。「AlAsは、格子定数がAlGaAsとほぼ同じである。このため、GaAs基板からはがした発光層の特性は、AlAs層を使わない通常のLEDと同等である」(沖デジタルイメージングの代表取締役社長である菊池曠氏)。この後、発光層を転写する先の基板に貼り付ける。この際、接着剤は使用しない。「LEDの発光層は2μmと非常に薄いため、分子間力によってICチップにぴったりと貼り付く」(同氏)という。
この技術は、プリンタ向けLEDヘッドのLEDアレイ素子を作り込む工程に採用している。面積が8.0mm×60μm程度の発光層をLEDドライバICチップに転写した後に、フォトリソグラフィ技術でLEDアレイを形成する。LED素子1個の発光部の面積は16μm×16μmだという。このほか、n層やp層とドライバICの電極との接続も、フォトリソグラフィ技術を使って作成した金属配線を利用する。杉本氏は、「発光層の転写後の工程はすべて、半導体の製造技術を利用できる。これまでLEDアレイとLEDドライバICは、ワイヤー・ボンディング技術で接続していた。開発した技術を採用したことで、プリンタ向けLEDヘッドを小型化することができた」と話す。
今後、沖電気工業は、この剥離転写技術の適用範囲を広げる研究開発に取り組む考えだ。例えば、GaAs系材料以外の化合物半導体で作成したLED発光層をドライバICに転写する技術である。さらに、「LED発光層をICチップ以外に転写することも考えている」(杉本氏)。実際に今回同社らは、ガラス基板にLED発光層を転写して作成したドット・マトリクス・ディスプレイも披露した。(EE TIMES JAPAN)
※こりゃ携帯ゲーム向けだな、と考える自分は発想が貧困なのでしょうか。